古山 昇志………………………社会福祉法人昭徳会 特別養護老人ホーム安立荘
来島 修志………………………日本福祉大学健康科学部
M田 光男、制野 司、牧 美奈…社会福祉法人昭徳会 特別養護老人ホーム安立荘 |
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【目的】
施設での生活において他利用者との交流が少なく、日常的な話し相手や楽しみの活動が少ないため居室でテレビを見て寝て過ごしていることが多く、閉じこもりがちとなっているA氏に対しグループ回想法を実施した
【方法】
2011年8月〜11月の間にグループ回想法を2クール実施
毎回1時間、週2回、1クール10〜12回で、A氏以外は1クール毎に参加者を変えて実施
認知機能テストと観察尺度を用いて実施前後に評価を行い変化をみる
【倫理的配慮】
発表にあたり、対象者とそのご家族及び施設長に説明し、同意・承諾を得た
【対象】
A氏…86歳 女性 要介護度2
アルツハイマー型認知症
認知症高齢者の日常生活自立度:Ub
障害高齢者の日常生活自立度:AT
3か月前に自宅より新規入所
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入 所 前 |
・物忘れ症状あり
・「死にたい」と毎日のように訴える
・物盗られ妄想あり(お金が盗られたと訴える)
・気分の変動が激しい(落ち込んでやる気がない) | |
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入 所 後 |
・居室にこもりがちであり、他利用者との交流少ない
・「死にたい」との悲観的な発言も毎日あった
・物の置き場所を間違え、同室者に対しての物盗られ発言あり | |
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【結果@】
〜1クール目の様子〜
回想法セッションの初めは自分の昔話をすることで楽しんでいたが、回を重ねる毎に他参加者に話しかけたり、他参加者からの質問に答えたりするようになり、相互交流が活発に行われながらセッションが進んだ
〜2クール目の様子〜
これまで全く関わりの無かった他フロアの参加者に自ら話し掛け、話に共感し合う場面がみられた
普段の生活においても、自主的に洗濯たたみ等の作業を申し出るようになり活動的になった
【結果A】
〜全クール終了後の変化〜
2クール目に参加したF氏との交流が特に深くなり、日常生活でもお互いの居室を行き来し、どちらかの体調がすぐれない時は居室まで見舞いに行き、「大丈夫だよ」などと励まし合う姿も見られるようになった
不安感や悲観的な「死にたい」との発言は聞かれなくなった
同室者に対する物盗られ発言が消失した
【結果B】
認知機能テストと観察尺度の回想法実施前後の変化
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